放課後、学校の屋上に座り僕たちは話をしていました。
「僕たちって、無気力な世代なんだって」彼は言った。
「時代がそう言ってるんじゃないの?」僕は言った。
「時代って何?」と彼。
「区切られてしまった、長い期間」と僕。
「今は、無気力って時代なんだ」と彼と僕。
僕:「夢ってある?」
彼:「特にないなー。夢、ある?」
僕:「・・・特に」
彼:「無気力だね」
僕:「まぁ、とりあえず生きているけどね」
屋上からみえることの出来る道路がありました。道路には、大勢の人が歩いています。
何かに向って。
漠然とされた、保証のない未来に向って歩いています。
彼:「皆、何を考えて生きているんだろ」
僕:「そんなの一概に言えるわけないよ」
「…、一ついえることは、欲じゃないかな」
彼:「欲って?」
僕:「何でも当てはまるよ。食欲、睡眠欲、性欲とか。漠然に生きたいとか、死にたいとか、憎しみさえも欲になるよ」
彼:「欲のない人間はいないかな?」
このとき、涼しい風が彼と僕の身体に、優しく当たりました。僕:「いたとしたら、そいつは人間じゃないね」
彼:「無気力な世代には、欲はないのかな?」
僕:「無気力っていう、欲だと思うけど」
彼:「君は、欲のせいにして、物事から逃げてるね」
僕:「実際、そうだから仕方ない」
彼:「妥協している。諦めている。思考に強要はしないけどね。君はそう思うことによって、自分を特別な人間だと思い込んでいる」
このとき、優しい風が吹きましたが、僕の心は沁みるような痛感を覚えました。僕:「どう、生きればいいと思う?」
彼:「無気力な人間にする質問では、ないね。道路を必死で歩いている人間にでも、聞いてみなよ」
世界はゆっくり動いています。保証のない世界は、僕たちを不安にさせます。
不安は重く、すり減り無気力と変化します。
僕:「どう生きればいいのですか?」
通行人は、異物を見るような目で走りさってしまいました。ふと、学校の屋上を見上げました。
彼が一人で、僕のほうをみているのがわかりました。
優しい風が、まだ吹いていました。
続く…↓
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