小さな奇跡なんて、
大きな奇跡なんて、
ここからは作れない。
泣いたって、
嘆いたって、
憎んだって、
苦しんだって、
作れない。
・・・だって、
綺麗な風景を描こうとして、
周りを観たら、
全部灰色に観えて、
描けない。
ここから観える景色を、
君に見せたくても、
灰色で、
綺麗じゃないから、
描けない。
灰色の街。空。人。
そして、灰色の自分。
それでも、
描こう。
灰色を描こう。
君を描こう。
灰色の君を描いたら、
君は微笑んだ。
「真実だね」って。
そして目の前で、
君は、
絵を破く。千切る。
灰色の街に、撒き散らす。
それが僕には、
粉雪のように白く観えて、
灰色の景色を裂いたんだ。
君は小さな奇跡を、起こした。
君は、
小さな奇跡を作り出した。
街に。空に。人に。
そして、僕に。
「ありがとう」
粉雪のような白い言葉を、君に、
さらさらと散らす。