<青い森>
私は、眼を、覚ました。
少年と、少女が、訪れる時に。
最近では、毎日来る。
隈がある、少年と、少女。
私は、そんな少年と少女を、包みたく思う。
寧ろ勝手に、純粋なる勝手に、包みこむ。
弱い目をした、少年と少女。
生きているのか、生きようとしているのか、死を求めているのか。
見当が付かない。
それを知る必要が、あった。
なぜなら、二人は招からざる、お客なのか。
または、そうでないのか。
私は身体を、さらりと揺らす。
「ザワッ」と、森全体が動く。
少年と、少女は、可愛い。
ビクついた。
首を左右に動かす。どうやら、身に危険があるのか、そうではないのか、判断しているらしい。
死を求めている人間は、些細なことでは、動じない。
よって、生きる意志はあると、考えられる。
そして、招くお客だ。ようこそ。
「今の、何だろう?」
シオンという少年がいう。「気味、悪いね」
ハルという少女がいう。私は、無性に、虐めたくなる。
怯えさせたくなる。どうやら、生きる意志はある。だからこそ、試す価値がある。意味もある。
ささやかに身体を揺らして、葉をさらさらと落してみせる。
「風は吹いていないのに、森が揺れている」
シオンは葉を掴み、呟く。「青い森だもの。確かに、普通ではないよね」
ハルは辺りを、見回す。そう。
私を、感じて。
そして、見つめて。
招いてあげる。
あなた達は、まだこの森の魅力に気が付いて、いないから。
私は、青い薔薇さえ、生えさすことができるの。
樹を捻じ曲げることさえ、容易なのよ。
あなた達を、動かすことも、簡単なの。
迷える、ハル、シオン。
何処に行きたい?
私が連れて行ってあげる・・・。
続く